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研修医マッチング対策完全ガイド:制度の仕組みから就職成功法までゼロから徹底解説

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「先輩が有名病院にマッチしたと聞いて,自分も焦りを感じ始めた...」

「先輩の友人がアンマッチになって,その後国試にも落ちてしまったらしい...自分はそうならないように早めに対策をしておきたい!」

「同期が実はマッチング対策を始めているらしい.でも自分は何から手をつけていいのかわからない...!」

医学生の皆さん,こんな悩みはありませんか? 初期研修マッチングは,医師人生を大きく左右する重要なイベントです.しかし,医学生の皆さんは大学の試験勉強,部活動,アルバイトと非常に忙しく,なかなかマッチング対策に十分な時間を割けていないのではないでしょうか.

本記事では,マッチング制度の仕組みから,理想の病院に就職する方法まで,医学生が知るべき全知識をゼロから体系的に解説します.自身も以前マッチングに参加し,第一希望病院にマッチした経験のある現役医師が解説します.

この記事を読んで,理想の研修病院にマッチする確実な第一歩を踏み出しましょう.

研修医マッチングとは?:基本知識を1分で理解しよう

臨床研修マッチングとは

研修医マッチングとは、全国の医学生の初期研修病院(プログラム)を決定する仕組みです。毎年,医学生は夏に希望する病院の選考試験を受け、秋に希望順位を公式サイトに提出します。その後、コンピュータを用いたマッチングアルゴリズムにより、就職先が決定し通知されます。

アルゴリズム

マッチングの仕組み(アルゴリズム)はデビッド・ゲイルとロイド・シャープレー(2012年ノーベル経済学賞受賞)という2名の学者によって提唱されたものであり、米国における研修医マッチング制度導入の際にも採用されたものです。

アルゴリズムの流れ

  1. 医学生が就職を希望する研修病院を希望順に登録する
  2. 研修病院が採用したい学生を評価し、学生を希望順に登録する
  3. コンピュータが双方の希望を照合し、最適な組み合わせを決定する

重要なポイント

研修マッチングの仕組みを理解するにあたって,重要な点は以下です.

  • マッチ結果には必ず従う必要がある(つまり,希望しない病院は書いてはならない).
  • 希望順位は、本人以外(研修病院や他の医学生)に知られることはない.
  • 希望順位表には、研修を希望する全てのプログラムを,希望する順番どおりに入力すべきである.言い換えれば,この仕組みには耐戦略性がある.

耐戦略性とは

  • このアルゴリズムは「各参加者が第一希望の研修プログラムとマッチできるか」から順に調べていく仕組みになっています.
  • 一方,参加者が希望プログラムとマッチできるかは「プログラム側からライバルよりも上位で希望されているか」のみに依存しています.
  • そのため,仮に参加者が第二希望以下の病院の希望順位を上げても,その病院とマッチする確率は変わりません.
  • むしろ、本当の第一希望にマッチできたかもしれない可能性を潰してしまうだけになってしまう,というわけです.
  • このように,細工が一切通用せず,ただ素直に希望する病院を書くことのみが最適解となるため,「耐戦略性がある」といわれています.

スケジュール

以下は一般的な医学生のマッチングスケジュールの例です.協議会は締め切りを過ぎてからの手続きは一切受け付けていないので,日程には注意しましょう.

4〜6年生

  • 随時:病院見学する

6年生

  • 6月ごろ:参加登録する
  • 7〜8月ごろ:各病院にて採用試験を受ける
  • 9月:希望順位を登録する
  • 10月:マッチング結果発表

2025年度のさらに詳しい日程は、こちらの記事を参照ください。

 

【参考】マッチング制度の歴史

マッチング制度は2004年に医師の臨床研修が必修化されたことに合わせて導入されました。

それまでのシステムには,以下のような問題がありました.

病院側の問題

  • アルゴリズム導入までは、研修希望者は複数の病院へ同時に就職希望を申し出ていました。これに伴い、病院側は内定辞退による欠員や過剰採用への対応が必要でした。

参加者側の問題

  • 研修希望者が複数病院から内定を受け取った場合、内定承諾締切日の差異などで、内定を得られた中で最も希望度の高い病院に入職できない可能性がありました。

これらの問題を解決したのが現在のマッチング制度というわけです。

なお、さらに参考ですが,臨床研修が「必修化」した理由は、以下のような問題があったからです。

  • 多くの研修医は自大学の医局や関連病院で、卒後すぐに専門診療科に偏った研修をしていました。そのため、プライマリ・ケアの基本的な診療能力が養成されにくい環境でした。
  • 多くの研修医の処遇は不十分で、アルバイトをせざるを得ず、研修に専念できない状況でした。
  • 出身大学やその関連病院での研修が中心で、研修内容や研修成果の評価が十分に行われていませんでした。

こういった経緯で,現在は複数診療科のローテーションが必須となっています.また,研修医の給料は一定の金額が保証され,その代わりにアルバイト禁止となっています.

失敗しない!研修医マッチング成功の4ステップ

ステップ1:自己分析を徹底的に行う

自己分析の目的は「病院側が求める人材像」と自分の接点を見つけることです。ここで大事なのは,病院に自分を合わせにいくのではなく,まずは自分の本音としっかり向き合うことです.

  • 専門的な手技を早くから身につけたい
  • 働きやすさを重視したい
  • 研究に関われる環境にいたい

人によって何に価値を感じるかは全く異なります.まず自分の価値観を明確にすることで,病院探しや面接試験のステップで迷いがなくなります.以下に挙げる3点を軸として,まずはじっくり自己分析を行いましょう.

  • なぜ医師を志したのか(過去)
  • いま何に興味を持ち、どんな努力しているのか(現在)
  • 5年後,10年後はどうなっていたいのか(将来)

就活経験のない医学生がゼロから自己分析するのは骨が折れる作業です.Tellmeduでは,『マッチング完全対策パック』で医学生が効率よく自己分析できるワークシートを提供しています.気になる方は,こちらをチェック.

ステップ2:研修病院を探す

自己分析で自分の希望が明確になったら,次にそれを叶えられる病院を探しましょう.ただ,全国に研修病院は数え切れないほどあります.実際に見学に行ける数も限られています.では,どのように病院を絞り込んでいけばよいのでしょうか?

病院を絞り込む条件は大きく分けると以下の3つになります.

  • 自分の希望する診療科の強さ(専攻医採用があるか,医局とのつながりなど)
  • 教育研修環境(勉強会,同期や指導医の質・量,症例の豊富さなど)
  • 労働環境,プライベートの充実度(忙しさ,立地,給料,休みなど)

病院を探す際にはこれらの条件を各自で吟味し,重み付けをしながら行うことになります.

また,病院を探すツールには以下にようなものがあります.

  • マッチング協議会公式サイト
  • ホクト(hokto)レジデント
  • レジナビ
  • e-resident
  • マイナビレジデント
  • c-mec

Tellmeduでは,これらのツールの使いこなし方や,条件の反映の仕方など,理想の病院の探しだす手順をステップバイステップで解説しています.詳しくは,以下の記事を参照ください.

ステップ3:病院見学する

さて,病院を数個に絞り込めたら,早速見学に行きましょう.実際に働いている研修医の意見を聞くことで,自分が研修医生活に求めるものがより明確になっていきます.

なお,病院見学はできるだけ多く(できれば10病院以上)行くことをおすすめします.なぜなら,見学に行くことでその病院の情報だけでなく,働いている研修医から鮮度の高い内部情報や,試験に有用な情報を得られるからです.そこで働いている研修医に積極的に質問して情報収集しましょう.

  • ほかにどんな病院を受験したのか
  • どのような志望動機で合格したのか
  • どんなマッチング対策をしたのか
  • 過去問はあるか

など,見学に行くことで自分のマッチング戦闘力を上げていくことができます.

さて,病院見学では意外と準備しなければならないことが多いです.例えば,

  • 見学申し込みメール
  • 履歴書
  • 服装やマナー
  • 質問リストの準備...など

などがあります.準備不足で見学すると,時間の無駄になるだけでなく病院側からも悪印象を持たれ,最終的に上位で指名されづらくなってしまいます.

Tellmeduではこれらの準備で失敗しないよう,全てサポートしています.『マッチング完全対策パック』では,手紙のテンプレートや質問リスト,持ち物リストを提供しています.詳しくはこちらをチェックしてください.

ステップ4:採用試験をクリアする

見学が終わったら,採用試験を受験します.最終的にマッチできるかは,ほとんどこのステップにかかっているといってよいでしょう.十分に時間をかけて準備しましょう.採用試験で対策すべきことは,主に以下に分けられます.

  • 履歴書
  • 筆記試験
  • 面接試験
  • 小論文

Tellmeduでは1つ1つ,攻略法を詳しく解説しています.『マッチング完全対策パック』では500を超える想定質問集や,模擬面接シミュレーション動画を提供していますので,活用してください.

見落としがちなポイント:早めに準備が必要なものリスト

国試,定期試験や部活動との両立

マッチング対策は,マッチング対策だけをやっていても成功するのは難しいです.

  • 部活動・サークル活動
  • アルバイト
  • 大学の定期試験

忙しくでもこれらの活動は手を抜かずに,一所懸命取り組みましょう.なぜなら,採用担当者はあなたがこれら学業以外の活動にどのように取り組んでいるかで,人物像をとらえようとすることが多いからです.マッチング対策ばかりして,肝心の中身ゼロの医学生にならないようにしましょう.

また,勉強も今まで以上に力を入れる必要があります.なぜなら,仮にマッチングで成功してもそれは「仮採用」に過ぎないからです.卒業試験や国家試験に落ちてパーにならないように,勉強を続ける必要があります.

必要な物の購入・準備

マッチングは,ほとんどの医学生にとっては初めての就職活動でしょう.

  1. リクルートスーツ
  2. カバン
  3. 革靴
  4. 証明写真

など,購入すべきものがいくつかあります.大丈夫だと思っていたら,試験や見学の日はあっという間に訪れます.直前になって焦らないように,早めに準備しましょう.

資格の勉強

最近,医学生は

  • USMLE
  • TOEIC / TOEFL
  • ACLS
  • 心電図検定

などの勉強に取り組む人が増えてきています.これらの資格を取れば必ずマッチング率が上がるわけではありません.ただ,もし取得したいなら1日でも早く対策を始めるべきでしょう.マッチング対策としての資格取得のメリットや注意点については以下の記事で詳しく解説しています.

【Q&A】よくあるマッチング制度への疑問を解決

アンマッチになったらどうなる?

アンマッチになった場合には,2次募集に応募する必要があります.2次募集の場合は病院数が限られており,条件も思い通りとはいかないでしょう.また,採用試験の日程も病院ごとに異なるため,(気持ちを切り替えて)速やかに病院探しと応募に取り掛かる必要があります.

アンマッチになる原因は,病院の登録数が少ないこと,採用試験でのパフォーマンス不足などが挙げられます.アンマッチしないためにやるべき対策はこちらの記事もチェックしてください.

内定はある?

結論,「内定」は信じてはいけません.

病院によっては,見学や採用試験で「君は内定だよ」「第一希望にしてくれたら内定を出す」などと言ってくる病院もあるでしょう.本当かもしれませんが,実はフルマッチにするためについている巧妙な嘘かもしれません.真偽は誰にもわかりません.

先ほども述べた通り,そもそも現行のマッチング制度はそのような口約束による腹のさぐりあいを無くす目的で始まった経緯があります.仮にその「口約束」を信じてアンマッチになっても,誰も助けてはくれないことは知っておきましょう.

また,このように弱い立場の学生側をゆさぶるような行為をする病院が受験に値する病院かどうかも,再考すべきと思います.

コネはある?

結論,コネはあります.

人が人を採用している以上,共通点の多い人間や親近感の湧く人材に好印象を抱くことには無理はありません.あからさまな贔屓を除けば,同じ大学出身や知り合いが採用されやすいことがあるのは事実でしょう.

自分にコネがなくても何も心配いりません.コネは採用においてたくさんある中で1つの判断材料に過ぎません.コネ以外の価値を信じること,そしてそれをアピールすることが何より大切だと思いませんか.

初期研修と,専攻医や後期研修との関係性は?

もし診療科が決まっているのであれば,ぜひ専攻医(後期研修)の就職についても考えましょう.特に都市部やマイナー科だと,シーリングの影響で初期研修1年目の冬には枠が埋まってしまうこともあるほどです.初期から生え抜きで専攻医採用してもらうことは,就活をスキップできるので大きなメリットになるでしょう.シーリングや後期研修については,以下の記事を参照してください.

【まとめ】マッチング対策はすべてTellMeduにまかせよう

研修医マッチング成功の鍵は「早めの準備」と「戦略的アプローチ」です.

自己分析から試験対策まで,今まで述べた要素をすべて網羅した『マッチング完全対策パック』があれば、多忙な医学生でも効率的に準備を完了できます.早速,こちらから受講しましょう.